S.T.A.通信

りゅう・チャクマ(S.T.A.代表)が月一回独自の情報・エッセイetc.を掲載するコーナーです。メールでもお届けしています。ご希望の方は、お問い合わせからご連絡ください。

STA通信116 経済危機

           
                    金融危機          2008年11月
 株価が9000円を割り、円がドルに対して80円近く迄
高騰した。インドやタイに行ったり、STAの仕入れをする
には誠にありがたい。景気が落ち込むのに不謹慎だと言
われかねないが。
アメリカの大統領選を含め、情報の総てが、不景気と言
うテーマに収斂されていく。
だがこんな時だからこそ立ち止まって、経済的価値だけ
ではなく、他の価値もあることを考えたらどうだろう。
経済は万能ではないし、手段ではあっても、目的ではない。
経済学の岩井克人氏が、貨幣はそれ自体純粋な投機である
と書いていた。
紙幣は単なる紙切れに過ぎない。皆がそれに価値を認め
ると言う合意があって、初めて価値が出てくる。
合意をする人と人の信頼が、価値を生み出す。基本は人
なのである。
NGO活動などやっていたら、生活は確かに楽ではない。しか
し、利を媒介にしない、人と人の関わり、出会いという
大切なものを頂いている。 
欲望を膨らませて、繁栄と言う幻を求めるより、物量に
頼らない心を満たす価値も見直したい。
経済のあくなき成長は、他の多くの犠牲によって成り立つ。


                       

STA通信115 草の根の視点

アフガニスタンで、ペシャワール会の伊藤和也さんが凶弾に倒れたことはまだ記憶に生々しい。
彼の業績で特に語られなければならないことが、あまり話題になっていないと思う。
彼の活動は、日の丸を背負っていなかったし、日本の国益とは無縁であった。ペシャワール会の運営資金が、公的支援を一切受けていないで、一般寄付でまかなわれていることもそのバックグラウンドにある。
アフガンの子供達が充分に食べられるようにという彼の願いは、支援する側の視点ではなく、現地の視点に立っていた。その意味では彼の活動は、する側とされる側という関係を作る、支援と言う言葉では語ることが出来ない。
彼が拉致された時、捜索に多数の村人が参加したのは、彼が既に村人と同じ仲間であったことを物語っている。
「以前は日本ならば安全でしたが、日本がアメリカ軍の支援に回ってから、日の丸がテロの標的になってしまった。」悔しそうに語って見えた、中村哲さんの心配が現実になってしまった。
本当のグロ-バルな視点とは、伊藤さんのように、現地の草の根の視点に立つことだと思う。アフガンの子供が、充分に食べられるようになるまで、伊藤さんの活動は続く。


 

                       

STA通信114福祉国家デンマーク

 消費税が20%を越えて、物価が高いのには閉口した。
スーパーの食料品は、日本より少し高めという感じだった。
その代わり、住居医療など最低限の生活は保障されている。
旅行者には不利だが、列車の子供料金は無料だった。
際立って豪華な家は見かけなかったが、北欧式のレンガ色の
絵本に出てくるような家々が田園風景に溶け込んでいた。
ホームレスのような人は、見かけなかった。
けばけばしい広告など殆どないので、ほっとする。
でも一般家庭なのか店なのか、また何の店なのか
外見からはわからない。ブランデと言う田舎町の話ではあるが。
高福祉、高負担というだけの問題ではないと思った。
弱者に対する人々の意識が、極めて高いと思った。
子供が時間をもてあまさないように、大人たちが真剣に
知恵を出し合ってくれた。子供に対して一対一で向き合う
意識がいきわたっていると感じた。
身体の不自由なお年よりもよく町で見かけた。
一般市民がちゃんと対応できる体制があると感じた。
システムだけを持ってきても、デンマークの様な公平な
社会にはならないと思った。
支える人がいなければ、どんな立派なシステムも意味は成さない。
政治家はもちろん、国民も問わている。

 


                       

STA通信113 大人の国ヨーロッパ

一ヶ月近くデンマークとオーストリアのウイーンに行ってきた。経済大国には数えられない国々だが、日本を含めアジアの国々には感じられない余裕を感じた。
経済大国といわれ、豊かであるはずの日本では全く感じられない、ゆったりとした人々の暮らし。特別な人ではなく、普通の庶民に感じる、この余裕は一体どこから来るのか考えた。
デンマークからドイツを経てオーストリアを車窓から眺めると、緩やかに波を打って丘をなす麦畑がどこまでも続ずく。時折畑の中に、ウサギや狐がちょこんと座っているのを見かける。近代国家というイメージがあるヨーロッパだが、以外に田園風景が多くを占める。
自給率と言うコンセプトだけではなく、この環境がヨーロッパの人々の余裕につながるのではないかと思った。
ウイーンの絢爛豪華な建物の数々は、その田園風景と歴
史的につながるものがあると感じた。
帰国して家へ帰る道中、家や工場に侵食され、虫食いになった水田が目に付いた。
「農業が滅びると、国が滅びます。」30年前そう語った牧師さんがいた。その言葉を思い返した。

 

                       

STA通信112チェンマイからの情報

今年3月のスタデイツアーで、20何年ぶりに出会ったニュージーランド人のステイーブは、タイ国境に住み着いて、ビルマ民主化の支援活動をしている。
彼の情報によると、サイクロンの被災地は、いまだ緊急支援が必要な状況であると言う。100万人の被災者は、支援物資を全く受け取っていない。それなのに軍政は関連企業に復興事業を割り振って、被災者の土地を奪っていると言う。救援活動で最も信頼できた、国民的コメデイアンも映画俳優も逮捕されてしまった。
その中で、STAも関わっているWEAVEのカレンの女医、ドクターシンシアが、32のチームを率いて現地に入っていると言う。WEAVEはビルマ少数民族のカレンやカレニの女性の自立をめざして、伝統的な織物や刺繍を伝えるプロジェクトから始まった。欧米の支援で、その後医療や教育まで活動が広がった。医療プロジェクトでは、ドクターシンシアの活躍で、いまだ医療サービスを受けたことのなかったジャングル地帯の多く少数民族が救済された。彼女はその活動が認められて、アジアのノーベル賞と言われる、マグサイサイ賞を受けている。サイクロンの支援では、彼女の支援が最も信頼できる。連絡はwww.maetaoclinic.orgです。


 

                       

STA通信111 未だ国益ですか

                     未だ国益ですか?

次回のCOP10の開催が名古屋に決まった。日本側から拍手と歓声が上がって、欧米の参加者の失笑を買ったという。生物の種を絶滅から護るという、深刻な会議なのにまるでお祭りをやるのりである。はっきり言って恥ずかしい。それに藤前干潟をなくそうとした人たちが、自分達が護ったようなことを言っているのも恥ずかしい。
NHKの日曜討論の地球温暖化のテーマで、川口元外務大臣が、盛んに国益ということを言っていた。一つの島国が沈んでしまうかもしれない、地球規模の危機に未だ国益なのですか?
日本の大企業は、二酸化炭素の排出量削減の負担に、頑強に反対している。国際競争力を弱めるからだそうだ。この期に及んで未だ競争ですか?競争に勝てば、地球の環境は良くなるのですか?
排出権の取引などというおかしな考え方が、市民権を得ている。地球に迷惑をかけるものを吐き出す権利など売り買いできるのですかね?
経済学者の宇沢弘文氏には、「人間として最低の生きざま。」とまで言わしめている。
もういい加減に損得から離れないと、人間の歴史は終わるかもしれない。